業務外の怪我による休職中・休職後の賃金・配置転換について

Aさんの問題

Aさんは業務外の怪我により半年近く休職していたのですが、怪我も良くなってきたので職場復帰することとなりました。
しかし、リハビリ期間ということもあり、休職前の職場ではなく、軽作業中心の別の業務につくこととなり、賃金も休職前より引き下げられることとなりました。
Aさんは賃金が下がることについて何か言えないのでしょうか。

私傷病休職中の賃金について

私傷病による休職について

 Aさんの休職は業務外の傷病を理由とするものですが、このような業務外の傷病を「私傷病」といいます。

一方、一定の事由により業務を遂行させることが不適当なときに、労働契約を継続しながら業務への従事を免除することを「休職」といいます。
就業規則に、会社から従業員に対し「休職を命じることができる」との条項を設けるなど、一種の業務命令としての「休職命令」が規定されていることが多いものと思われます。

私傷病による休職期間中の給与支給について

私傷病による休職期間中は、ノーワーク・ノーペイの原則から賃金は支払われないのが原則となります。

しかし、就業規則などに休職期間中も一定の賃金を支給する旨の規定があれば、一定の賃金が支給されることとなります。 

休職明けの配置転換と降給について

復職後の配置転換について

次に休職明け、復職後の勤務についてですが、原職に復帰するのが原則ではあります。

しかし、傷病明けで心身の状態から原職に直ぐに復帰することが困難なような場合、復職した従業員の希望があれば、会社も軽労働で済む他の部門、職務への配置を検討する義務を負うとされています(大阪地判平成11年10月4日)。

一方、復職した従業員の希望がない場合においても、会社は、雇用契約・就業規則等から配転命令権を有することが多いと思われます。
この配転命令権を会社が有する場合は、権利濫用とみなされるようなものでない限り、会社は一定範囲において復職者の配置転換をおこなうことが可能であると考えられています。
ただし、配転命令権の範囲も雇用契約、就業規則等の内容により異なることから、配置転換をおこない得る「一定範囲」も個別事情により異なることとなります。

休職明けの降給について

 担当職務により賃金が異なる職務給制度を会社が採用していた場合、職務変更により賃金が下がる可能性もあることとなります。

Aさんの場合において、休職前の原職と復職後の職務の間に賃金規定上、賃金の格差があったような場合、自動的に賃金が変更されることとなり得ます。
一方、職務により賃金の格差があるような賃金体系を会社が採用していない場合、Aさんの賃金は自動的に下がるものではありません。

Aさんの対応について

 Aさんの場合は、まず、就業規則などの社内規則により、休職中の給与扱いおよび給与体系を確認する必要があります。
また、復職後の配置転換が不当であると考えられる場合は、専門家に相談することとなります。

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