パーティー登山事故の類型と法的責任

※作成時の法律、判例に基づく記事であり、作成後の法改正、判例変更等は反映しておりません。

パーティー登山事故の類型と責任

パーティー登山において発生した登山事故のうち、裁判にまで発展した事故は、大きく分けて、

(a)商業ツアーでの事故

(b)教育活動での事故

(c)山岳会での事故

(d)その他のパーティーでの事故

に分類することが出来ます。

尚、ここでは、単独行の対義語として、2人以上での登山をパーティー登山と呼び、パーティー登山中の登山事故をパーティー登山事故ということにします。

パーティー登山事故の法的責任

パーティー登山事故においても、単独登山と同様な事故も生じます。
たとえば、パーティー外の第三者の登山者が起こした落石による死傷事故、登山道の梯子、柵等の瑕疵による事故などが考えられます。

これらの事故に関しては、原則として、法的には、単独行時の事故と、パーティー登山時の事故は異なるものではありません。

たしかに、パーティーの同行者(以下単に「同行者」といいます。)に、「危ないよ」と他のパーティーの構成員に注意する義務が認められるような例外的な場合は、当該同行者と落石を引き起こした第三者(ここでは、パーティーの構成員以外の者(部外者)を「第三者」ということとします。)あるいは梯子、柵等の管理者との間に客観的関連共同を認定し、民法719条により当該同行者と第三者あるいは管理者の双方に、共同不法行為による損害賠償責任が生じると考えることも法理論的には可能です。

しかし実際に双方に責任が認定されるのは、かなり例外的な場合に限定されるものと思われます。

このサイトで紹介する記事は、とくに断りのない限り、上記のような客観的関連共同が問題とはならない事故における、事故の被害者と他のパーティー構成員およびパーティーの主催者(以下単に「主催者」といいます。)との法的関係について触れています。

(a)商業ツアーでの事故については、下記の記事で扱っています。

(b)教育活動での事故については下記の記事で扱っています。

(c)山岳会での事故については下記の記事で扱っています。

(d)その他のパーティーでの事故については下記の記事で扱っています。

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